Brand Story
パチック
- CD / PD / Color / Adviser : Regan Group
& Naoya Edahiro Design
& Motoyoshi Isamu (The University Tokyo) - CL : Kureha
- Category : Brand Story
40年目のプロダクトリニューアル
触れたくなる、使いたくなるパチックへ
食パンやお菓子の袋を閉じるクリップ。今ではさまざまな生活雑貨メーカーから発売されていますが、クレハの「パチック」は、ニッチなカテゴリーでありながら、暮らしの変化を捉えた商品として長く愛され、発売から40年を迎えました。
そして40年目にして、初めてともいえる大きなリニューアルへ。求められたのは、久しぶりのリニューアルだからこそ、社内にもお客様にも「これなら納得できる」と思ってもらえる、新しいパチックでした。本プロジェクトの最適解を見つけるために、世界のデザインチームから、新しいパチックを探すために多国籍のクリエイティブ特別チームを編成。日本を含む世界3カ国のデザインチームとともに、「これからのパチックとは何か」を探るところからプロジェクトをスタートしました。そうして出てきた3つのコンセプトを軸に、数多くのラフスケッチを展開。
その中から採用候補を検討していただく中で、クライアントから出た一言がありました。
「パチックって、触り続けたくなるし、音もいいんですよね」その言葉が、プロジェクトの視点を変えました。

「触りたくなる」は、パチックのDNAなのか?「触り続けたくなる」という感覚は、スペックや機能だけでは説明できません。
人がモノを見て、触れて、音を聞き、無意識のうちに「心地いい」と感じる。その感覚の中に、40年間パチックが愛されてきた理由があるのではないか。そう考え、デザインだけではなく、人の五感に対する認知や行動の知見をプロジェクトに取り入れることにしました。

早稲田大学、大阪市立大学、東京大学などの研究室へ協働を打診し、東京大学の駒場キャンパスで研究者である先生と意見交換。
結果、東京大学の本吉先生にアドバイザーとして参画いただき、ブランディングとプロダクトデザイン、そこに認知行動科学の知見を掛け合わせたスペシャルチームが生まれました。
デザインを「見た目」だけで考えない。人は、なぜそのカタチを心地よいと感じるのか。
そこから、パチックが受け継ぐべきDNAを改めて見つめ直しました。

「新幹線」のような、滑らかな曲線
ラフスケッチでの採用案をもとに、サンフランシスコのデザインチームとプロダクトデザインの試行錯誤を進行。
いくつもの展開案をつくり、ブランドコンセプトを軸にクライアントと検討を重ねながら、形状を絞り込んでいきました。
そこでデザイナーから出てきた、ひとつのコードネームが「新幹線」。新幹線を思わせる滑らかな曲線と、自然なくびれ。見た目の美しさだけでなく、手にしたときの心地よさまで考えた形状です。その名前は、最終デザインが完成した後も、チームの記憶に残り続けました。

40年の「らしさ」を、次の40年へ
パチックのリニューアルで目指したのは、40年間のデザインを新しくすることだけではありません。「閉じる」という機能の奥にあった、触れる楽しさ、使う心地よさ、暮らしの中で自然に手に取りたくなる感覚。目に見えない「らしさ」を見つけ、それを新しいカタチへと翻訳する。
それが、40年目のパチックに与えた新しい価値でした。皆さんもぜひ、パチックの「パチッ」という音の快感を体験してください。
私たちは、デザインを変えるだけではなく、ブランドや商品の中に眠る「らしさ」を見つけ、次の価値へと育てていきます。